FXには「ロスカットがあるから安全」という神話がある。
嘘だ。相場が急変すれば、ロスカットは間に合わない。
口座残高はマイナスになり、追証(追加証拠金)=借金が発生する。
この記事では、追証が発生する仕組み、払えない場合に何が起こるか、
そして実際に起きたスイスフランショックの事例まで、全部書く。
追証が発生する仕組み。
FXでポジションを持つと、「証拠金維持率」が常に計算されている。
この維持率が一定のライン(通常100%前後)を下回ると、マージンコールが発生する。
「追加で資金を入れろ」という業者からの警告だ。
マージンコールに応じなければ、次に来るのは強制ロスカット。
業者が勝手にポジションを決済する。ここまでは「安全装置」と言えるかもしれない。
問題は、相場が急変した時、この安全装置が機能しないことだ。
値が飛ぶ(ギャップ)と、ロスカットの注文は意図した価格で約定しない。
結果、口座残高がマイナスになる。これが追証だ。
ロスカットは「安全装置」じゃない。
急変動時には壊れる安全装置だ。
払えない場合の流れ。
追証が発生して、払えない。
その時、何が起こるか。4つのステップで破滅に向かう。
追証の通知
業者から追加証拠金の入金を求める通知が届く。期限は通常2〜3営業日。「入金しなければ全ポジションを強制決済する」という最後通牒だ。
強制決済
期限内に入金がなければ、業者が全ポジションを強制決済する。このとき口座残高がマイナスなら、そのマイナス分が「残債務」として確定する。
残債務の請求
業者から残債務の一括返済を求める請求書が届く。数十万〜数百万円。払えなければ分割交渉の余地はあるが、法的な支払い義務がある。
信用情報・法的措置
返済に応じなければ、信用情報機関に事故登録(ブラックリスト)。最悪の場合、裁判所を通じた法的措置。給与差し押さえの可能性もある。
追証の通知が来た時、手が震えた。
金額を見て、吐きそうになった。
「入金した額以上は失わない」——そう信じていた自分が馬鹿だった。
スイスフランショックの事例。
2015年1月15日。スイス国立銀行が突然、ユーロとスイスフランの為替介入を撤廃した。
その瞬間、スイスフランはわずか数分で約41%急騰した。
何が起きたか。
ストップロス(逆指値注文)が全く機能しなかった。
流動性が完全に蒸発し、売買が成立しない「真空状態」が数分間続いた。
再び取引が成立した時には、口座残高がマイナス数百万円〜数千万円になっていたトレーダーが続出した。
影響はトレーダーだけではなかった。
英国の大手FXブローカーアルパリUKは顧客の損失をカバーできず破綻。
米国のFXCMグループは3億ドル(約360億円)の損失を計上し、救済融資を受けた。
ブローカーすら生き残れなかった。
「ストップロスを入れているから安心」は嘘だ。
本当の急変動では、注文そのものが約定しない。
追証を払えない時の対処法。
追証が発生してしまった場合、まず絶対にやってはいけないことがある。
借金をして追加入金するな。
消費者金融、カードローン、友人・家族からの借金——どれもダメだ。
追加入金しても相場が好転する保証はない。
結果、FXの借金を返すために別の借金を重ねるという最悪のスパイラルに陥る。
やるべきことは以下だ。
1. 業者に連絡して分割返済を相談する。
多くの業者は分割返済に応じてくれる。まずは電話しろ。
放置すれば法的措置に進むだけだ。早い方がいい。
2. 分割でも無理なら、債務整理を検討する。
弁護士や司法書士に相談すれば、任意整理・個人再生・自己破産など、法的な解決策がある。
FXの借金で人生を終わらせる必要はない。
3. 二度とFXをやらない。
追証が発生した時点で、FXはお前の手に負えるものではなかったと認めろ。
追証を経験してなお「次は勝てる」と思うなら、それは依存だ。
追証を借金で払うな。
それは破滅への最短ルートだ。