⚠ 原作のネタバレを少し含む

用語の解説に必要な範囲で、原作コミックの展開(くるみの口座の動き)にふれる。

01

レバレッジ。 手元のお金の何倍も 賭けられる仕組み。

// Leverage

FXでは、口座に入れたお金(証拠金)の何倍もの金額を取引できる。この倍率がレバレッジだ。日本の国内業者では、個人の上限は25倍。

くるみはアルバイトで貯めた30万円から始めた。しかも短期で勝ち逃げするために、国内よりはるかに高いレバレッジが使える海外FX口座を選んだ。

国内の上限25倍で、30万円を全部使ったとする。

750万
30万円×25倍で動かせる金額
1%
相場が1%逆に動くと、損は7.5万円。証拠金の4分の1が消える
4%
相場が4%逆に動くと、30万円が全部消える

海外業者には、数百倍以上のレバレッジを出すところもある。倍率が上がるほど、全額が消えるまでの値動きは小さくなる。レバレッジは「稼ぐ力」じゃない。「失う速さ」を何倍にもする仕組みだ。

くるみは国内で再開したあと、20倍のレバレッジを「低い」と言ってのけるようになる。投資仲間の萌智子でさえ青ざめるほどの暴走だった。

02

ロスカット。 負けすぎたら 業者が勝手に終わらせる。

// Forced Liquidation

含み損が膨らんで、口座のお金が業者の決めた水準を下回ると、ポジションが強制的に決済される。これが強制ロスカットだ。損が確定して、ゲームオーバーになる。

くるみは最初の口座で、萌智子に誘われて値動きの荒い通貨に手を出し、強制ロスカットの寸前まで追い込まれた。

そこでくるみがやったのは、父のタンス預金300万円を勝手に持ち出して、口座に入れることだった。口座のお金を増やせば、ロスカットまでの距離が伸びる。負けを認めずに済む。

ロスカットを避けるための追加入金は、「負けを先送りするためのお金」だ。くるみの場合、それは家族のお金だった。

くるみはこのとき、結果的に大きな利益を出してしまう。そしてこの「助かった経験」が、あとで彼女をもっと深い場所まで連れていく。

03

追証と不足金。 口座の外まで 損が追いかけてくる。

// Margin Call & Deficit

追証(おいしょう)は「追加の証拠金」の略。含み損で証拠金が足りなくなったときに、追加で入れるよう求められるお金のことだ(仕組みは業者によって違う)。

もっと怖いのは、相場が一瞬で大きく飛んだときだ。ロスカットが間に合わずに、口座のお金がゼロを越えてマイナスになる。このマイナスが不足金で、日本の国内業者では、そのままあなたが払う借金になる。

海外業者の多くには「ゼロカット」がある。口座のマイナスを業者がかぶって、ゼロに戻してくれる仕組みだ。国内業者には、これがない。

よくある勘違い
「FXは入れたお金以上は減らない」
→ 国内業者で相場が飛べば、入れたお金を全部失ったうえで、さらに借金が残る。
04

ユロスイ。 くるみが1億円超の 借金を負った通貨ペア。

// EUR/CHF — January 15, 2015

ユロスイは、ユーロ/スイスフランのこと。スイス国立銀行が「1ユーロ=1.20フラン」より上がらないように上限を決めていたので、当時は「動かない」「安全」と思われていた。

くるみは国内業者の口座で、このユロスイを「必勝の作戦」に選ぶ。

2015年1月15日、スイス国立銀行はこの上限を予告なしで撤廃した。フランは数分でユーロに対して約30%上がった。値が飛んで、ロスカットも逆指値も間に合わない。くるみの口座は大きなマイナスになり、1億円を超える借金が残った。

最初の危機は「ロスカット」で済んだ。二度目は「借金」になった。違いは、相場の飛び方と、国内業者にゼロカットがないことだ。

レバレッジ25倍なら、30%の逆行は証拠金の7.5倍の損になる。100万円入れていたら、650万円の借金が残る計算だ。

05

損切り。 分かっていても できない。

// Stop Loss

損切りは、含み損が小さいうちに自分で決済して、損を確定させること。言葉にすれば簡単だ。

でも作中の高根やす子は、欲と恐怖に負けて損切りのラインを決めきれないことが失敗の原因として描かれている。やす子は自分に才能がないと分かっていたから、早々に競争から降りた。結果的に、それが一番まともな選択になった。

損切りができないのは、性格の問題じゃない。人間の脳は、損を確定させることを強く嫌うようにできている。

06

くるみちゃんは 「FXの勉強になる」?

// Is It Educational?

用語と仕組みの勉強には、なる。アニメにはFX監修(FXVTuberのリオンさん)が付いていて、FXをやったことがない人にも分かるように描かれている。

でも、勝ち方の教材ではない。くるみは特待生で、知識も十分あった。それでも1億円を超える借金を負った。この作品が教えているのは「どうすれば勝てるか」じゃない。「知識があっても、人はこうやって壊れる」だ。

アニメを見て用語が分かったなら、それで十分だ。口座を開く必要はない。

30万円から、1億円超の借金へ。

レバレッジで賭け金を何倍にもふくらませた。
ロスカットを家族のお金で先送りした。
そして、相場が飛んだ日に、口座の外まで損が追いかけてきた。
くるみの転落は、全部FXの「仕組み」で説明できる。

レバレッジ25倍の本当の意味 →